最近のマルチロータのドローンは、ほとんどリチウムバッテリーをエネルギー源として飛行しています。
現在、ドローンのバッテリーとして使われているリポと呼ばれている2次電池のほとんどは、実は電解液にポリマーが使われていないリチウムイオンバッテリーです。
ラミネート型と呼ばれるパックに袋詰めされている形を見てリチウムポリマーと呼ばれているだけで、正確にはラミネート型リチウムイオンバッテリーという電池なので、パックの中には電解質が入っています。
リチウムイオン電解液に融解しているリチウム塩が析出すると、電極状に平坦に析出せず、針状に析出してしまいます。
これはリチウムだけでなく、マグネシウムやアルミニウムなどのアルカリ金属に共通する性質で、六方晶構造をとりやすいことから針状結晶になりやすいのです。
リチウムの針状析出が発生すると、正極と負極を隔てるセパレータを金属リチウムが貫通し、短絡します。
短絡すると通電した電力のジュール熱で温度上昇が起こります。
温度上昇が起こると、次々と反応や熱分解が進行します。
このことからリチウムイオンバッテリーの取り扱いとして重要なのは、最初の温度上昇のトリガーを発生させないことです。
ドローンの取り扱い上よくある温度上昇発生の原因として、過充電による発熱と、電池のラミネートの損傷による発熱があります。
電池は化学反応なので、活性化エネルギーが必要で、低い気温では使用直前まで室温を保つ保温をするなど注意が必要です。
参考:ドローンメカニズムの基礎知識