身近なGIS

測位技術の発達と身近な位置情報

スマートフォンの設定で目にする位置情報サービスは、端末自体が現在位置を把握していることで提供されるサービスで、具体的には紛失時に現在その端末がどこにあるか探せる機能、地図アプリで自動的に現在地周辺が表示される機能などがあります。

 

モバイル端末が現在位置を把握できるのは、測位技術の発達が背景として大きいです。測位技術とは、ある場所が地球上のどこであるかを把握する技術のことです。概要として、人工衛星から衛星の現在位置、現在時刻の情報を含んだ電波が常時発生されており、モバイル端末などの受信機がその電波を受信することで測位が行われます。発信時刻と受信時刻の差を取ることで、電波が発信された時の衛星の位置とモバイル端末の位置との間の距離を計算することができます。

 

また屋内や地下空間では人工衛星からの電波を受信できず、測位が行えないため、WiFiの電波やビーコンを組み合わせたりし、地上と屋内や地下空間でシームレスに現在位置を把握するための技術開発や環境整備が進んでいます。

 

位置情報データの蓄積とビッグデータ・オープンデータ

スマートフォン向けの地図アプリなどには、利用規約の範囲内でユーザーの位置情報のログを蓄積し、匿名性を保ったうえでサービスの提供に役立てている例があります。

 

人々の行動履歴という地理空間情報は日々大量に作成され、蓄積されています。このようなデータは、データ量が膨大であり、人間の手作業による閲覧や集計が困難であるため、ビッグデータとも呼ばれており、利活用方法についての研究が進めらえrています。

 

国土数値情報、基盤地図情報など、コンピューターでの利用を想定した様々な空間データがウェブを介して提供されています。

自治体も施設立地などの情報をオープンデータとして公開している例もあります。

 

地理空間情報活用推進法に基づき、作成されている基本計画でも、だれもがいつでもどこでも必要な地理空間情報を扱うことができ、高度な分析に基づく的確な情報を入手できる地理空間情報高度活用社会(G空間社会)の実現が謡われています。

 

コロナ渦での活用

コロナ渦でのリアルタイムな人手の計測では、スマートフォンの位置情報が使用されました。こうした人流データが世間に知られるようになったほか、この技術は店舗の混雑状況の可視化という形で、私たちの生活になじんできています。

 

施設管理での活用

道路網や鉄道網などの交通インフラ、上下水道、電力などのライフラインはその施設が空間的に広範囲に分布する一方、それらを網羅的かつ定期的に点検すること、異常が発生した際には迅速に補修することが求められます。そのために、巡回点検の計画や補修必要性の有無などの情報を一元的に管理しつつ、現場作業員とも共有することが効果的です。こうした情報について、GISを含む様々なデジタル技術の普及で、リアルタイム化、効率化が図られています。

 

電柱や管路の敷設位置、橋梁やトンネルの形状などを、位置情報を含むデジタルデータとして管理し、現場ではタブレット端末などを使用してウェブ地図に現在位置とともに表示することで、作業員の目の前にある点検対象を台帳から探す必要がなくなり、迅速な作業がなくなります。

 

これらのインフラやライフラインの管理主体や公的セクターと様々な民間企業にまたがっています。一元管理されていなくても、GISデータとして地中埋設物や地上構造物の情報が適切な情報を含んでいれば、容易に地図上で重ねて表示して、工事前に支障物の有無を確認することができます。

 

出典元

基礎から学ぶGIS・地理空間情報

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