目次
- 概要
- 国産メーカー比較表
- 企業別紹介
①(株)ACSL
②SONY
③エアロセンス(株)
④(株)Liberaware
⑤ブルーイノベーション(株)
⑥Terra Drone(株)
⑦(株)マゼックス
⑧(株)Sky Drive
⑨(株)ジーフォース - 参考文献
概要
現在、官公庁では情報漏洩等の観点から、脱中国製のドローンの動きが進んでいます。
それに伴い、国産ドローンの需要が高まってきており、開発が進められています。
一般向けでは、DJI(中国)のドローンがほぼ独占しております。
産業用においても、DJIのドローンを国内の業務で使われているのが多く見られますが、今後は国産ドローンも増加していくのではないかと思われます。
ドローンの国内での動き等が気になったため、記事にまとめてみました。
ぜひご覧ください!
国産メーカー比較表
代表的な国産メーカーについて、一覧表にまとめました。
企業名 | 主力製品 | 用途 |
(株)ACSL | 蒼天、PF2-CAT3 | 空撮、点検、物流 |
Sony | Airpeak S1 | 空撮、測量 |
エアロセンス(株) | エアロボウイング | 点検、測量 |
(株)Liberaware | IBIS2 | 点検 |
ブルーイノベーション(株) | ELIOS 3 | 点検 |
Terra Drone(株) | Terra Xross 1 | 点検 |
(株)マゼックス | 飛助 | 農業 |
(株)Sky Drive | Sky Drive | 空飛ぶ車 |
(株)ジーフォース | LEVIO等 | 趣味 |
企業別紹介
①ACSL
企業概要
2013年に千葉大学教授の野波健蔵氏により創業されたベンチャー企業です。
もともとは、株式会社自律制御システム研究所という名前でしたが、2021年に企業名を現在のACSLに変更しました。
世界水準の自律制御技術を持ち、同技術を搭載した産業用(空撮や点検、物流など)ドローンの提供を行っております。
製品紹介
蒼天
出典:株式会社ACSL
ISO15408(コンピュータセキュリティのための国際規格)に基づくセキュリティ対策が施された小型空撮用ドローンになります。
機体の主要部品には、国産品もしくは信頼性の高い海外からの調達品を使用し、通信・撮影データの暗号化など、セキュリティ強化を図っています。
蒼天は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「安全安心なドローン基盤情報開発」事業に採択されて、技術開発を進めたものになります。
LTE通信を使用し、インターネットを経由したドローンの操縦が可能となるため、山間部やプラント内等の遠隔地で、自動飛行による補助者無し目視外飛行が可能となります。
カメラは、動画4K、静止画は2,000万画素となっております。オプションとして、赤外線カメラ、マルチスペクトルカメラなどがあります。
機体重量は1,720g、最大飛行時間は約29分となっております。
価格はオープン価格となっておりますが、約150万円という情報もあります。
項目 | 詳細 |
用途 | 空撮、点検、警備等 |
寸法 | アーム展開時:637mm×560mm(プロペラ含む)
アーム収納時:162mm×363mm |
機体重量 | 1,720g(標準カメラ・バッテリー含む) |
最大飛行時間 | 29分 |
標準カメラ | 動画4K対応 静止画時2,000万画素 |
PF2-CAT3
出典:株式会社ACSL
日本で現状(記事執筆時点)、唯一の第一種型式認証機となっております。
すでにレベル4飛行による実証実験を成功させており、後継機の開発も進んでいるようです。
主に物流目的で使用される機体となっております。
1.0kgまでの物を運ぶことが可能で、最大飛行時間は20分となっております。
項目 | 詳細 |
用途 | 物流 |
寸法 | 1,174mm×1,068mm×601mm(プロペラ含む) |
重量 | 機体:5.5kg、バッテリー:3.3kg、 最大ペイロード:1.0kg、最大離陸重量 9.8kg |
最大飛行時間 | 20分 |
補助安全装置 | 日本化薬社製パラシュート搭載 |
②SONY
企業概要
テレビ、カメラ、オーディオ、ゲームなどを手がける言わずと知れた日本を代表する企業です。
2020年にドローン事業に参入しましたが、2025年に撤退してしまいました。
製品紹介
Airpeak S1
出典:SONY
SONYが制作した、国産の空撮ドローンになります。
ドローンにSONYのカメラであるαシリーズを搭載することができ、高画質な空撮が可能となっております。
第二種型式認証も取得しており、二等無人航空機操縦者技能証明と組み合わせることで、一部申請が免除となります。
また、RTKも搭載することが可能で、測量も可能となっております。
しかし、2025年3月末にて、販売が終了してしまいました。
サイダ飛行時間は30分となっております。
価格は約100万円程度という情報もあります。
項目 | 詳細 |
用途 | 空撮、測量 |
寸法 | 機体のみ:約526.8mm(高さ) x 591.9mm(幅) x 511.8mm(奥行) |
重量 | 機体のみ:約3.1kg
RTKキット(別売)取付時:約3.4kg |
最大飛行時間 | 30分 |
カメラ | SONYのカメラ(αシリーズ) |
③エアロセンス(株)
企業概要
2015年に設立された、ソニーグループが主要株主の会社となります。
国産ドローンの開発とクラウドによるデータの処理・管理などを取り扱っています。
主に測量用のドローンを開発しております。
製品紹介
エアロボウイング(AS-VT01K)
出典:エアロセンス(株)
エアロボウイングは、2020年10月に、初の国産VTOL機として発売されました。
滑走路不要で離発着が可能で、1フライト50km、巡航速度65km/hの高速飛行を行えます。
山間部の砂防施設の点検や河川沿いの調査飛行、大規模測量など、長距離・広範囲の飛行が必要な場所等で活用されています。
2024年6月に、VTOL機(垂直離発着陸型固定翼)として初となる、第二種型式認証を取得しております。
価格は500万円程度という情報があります。
項目 | 詳細 |
用途 | 空撮、測量、点検 |
寸法 | 215 x 124 x 42 cm(プロペラ含まず) |
重量 | 9.2kg |
最大飛行時間 | 40分 |
カメラ | 別売りで、静止画2,000万画素、動画3840 x 2160/30fps |
④(株)Liberaware
企業概要
2016年に設立された、狭小空間を安定して飛行可能で、非GPS環境下の屋内空間を自動飛行できるドローンの技術開発を行っている会社です。
製品紹介
IBIS2
インフラ、プラント設備などの狭小空間点検に特化した、世界最小クラスのドローンになります。
サイズは約20cmと非常に小さく、点検口や配管内の飛行が可能となっています。
飛行制御システムは自社で開発し、磁気センサを用いない姿勢制御を採用しており、コンパスエラーが生じないようになっております。
また、防塵構造モーターを搭載しており、粉塵・水滴環境下での飛行が可能です。
価格については、約1,000万円という情報もあります。
項目 | 詳細 |
用途 | 点検 |
寸法 | 194mm × 198.5mm × 58mm |
重量 | 243g |
最大飛行時間 | 11分 |
カメラ | 解像度1920 × 1080 |
⑤ブルーイノベーション(株)
企業概要
複数のドローン・ロボットを遠隔で制御し、統合管理するためのベースプラットフォームであるBlue Earth Platform(BEP)を軸に、点検、物流、オフィス、教育の4つの分野でサービスを展開しています。
ドローンの機体としては、プラント点検向け球体ドローン「ELIOSシリーズ」を開発しています。
製品紹介
ELIOS 3
スイスのFlyability SA社と業務提携し、開発を行っています。
ボイラーやタンク、工場の高所など、狭小空間の点検において、活躍しています。
球状のプロペラガードで、全方向の衝突リスクに備えています。
項目 | 詳細 |
用途 | 点検 |
寸法 | L480mm×W480mm×H380mm |
重量 | 2350g |
最大飛行時間 | 12.5分 |
カメラ | センサーサイズ(1/2.3”” CMOS)、ピクセル数(縦3000pixel×横4000pixel) |
⑥Terra Drone(株)
企業概要
2016年に設立された企業で、東京に本社を置き、全国に拠点を構え、海外においても欧州や東南アジアを中心に、事業展開を行っています。
ドローンレーザー測量、写真測量においては、大手ゼネコンや測量会社からの案件など、2,000回以上の実績を有しています。
ドローンを活用したサービス業を展開しております。
機体としては点検用の機体を制作しております。
製品紹介
Terra Xross 1
Terra Droneが開発した、屋内点検用のドローンになります。
Lidarを活用しており、屋内の粉塵や暗所などでも安定した飛行が可能となっております。
有線給電モジュールを使用することで、常時給電が可能となり、バッテリー切れのリスクを防ぐことができます。
項目 | 詳細 |
用途 | 点検 |
寸法 | 360×310×210mm(長さ×幅×高さ) |
重量 | 1800g |
最大飛行時間 | 10分 |
カメラ | 1/1.7-inch 8MP、4K |
⑦(株)マゼックス
企業概要
2017年に東大阪で設立された企業になります。
農業・林業・建設業などの産業用ドローンの開発等を行っております。
特に農薬散布ドローンの販売実績が大きいです。
製品紹介
飛助15
出典:(株)マゼックス
農業用農薬散布ドローンの最新機種(2025年6月時点)になります。
タンクの容量が15Lとなっており、取り外しもワンタッチでできます。
完全自動飛行モードも搭載しており、進行方向や飛行高度、散布量・散布幅などもアプリで調整が可能です。
1バッテリーにつき、1.5haまで散布が可能です。
価格は約100万円ほどです。
項目 | 詳細 |
用途 | 農業 |
寸法 | 1280×1280×690mm |
重量 | 22.50kg |
最大飛行時間 | 1バッテリーにつき、1.5ha散布可能 |
カメラ | 標準装備。高度維持・障害物レーダも標準搭載 |
⑧(株)Sky Drive
企業概要
「100年に一度のMobility革命を牽引する」というミッションを掲げて、2018年に設立された企業になります。
空飛ぶクルマ(電動垂直離着陸航空機(eVTOL))の開発を行っており、大阪万博にも展示されております。
日本の自動車メーカーのスズキが製造しております。
製品紹介
SKY DRIVE
出典:(株)Sky Drive
大阪万博にも展示されている、空飛ぶ車になります。
最大で3名搭乗可能で、100km/hで飛行可能、航続距離は40kmまでとなっております。
項目 | 詳細 |
用途 | 空飛ぶ車 |
寸法 | 約11.5 m × 約11.3 m × 約3 m(ローター含む) |
最大離陸重量 | 1,400 kg |
最大巡航速度 | 100 km/h(対気速度) |
航続距離 | 15~40km |
最大搭乗人数 | 3名(操縦士1名+乗客2名) |
⑨(株)ジーフォース
企業概要
2013年に設立された、ホビーユーザー向けのドローン・ラジコンの開発と販売を行っている企業です。
多種多様な小型ドローンを開発しており、ドローンに興味のあるユーザーさんの第一歩としておすすめです。
製品紹介
LEVIO
出典:ジーフォース
ジーフォースから発表された、最新の99g以下のドローンになります(2025年6月時点)。
シングルジンバルを搭載しており、ブレの少ない映像を撮ることが可能です。
プロポからカメラの角度を調整可能で、動画もFHD対応となっております。
項目 | 詳細 |
用途 | 趣味 |
寸法 | 全長:122mm 全幅:150mm 全高:32mm |
重量 | 総重量:95g |
最大飛行時間 | 約10分 |
カメラ | 動画:MP4形式/1920×1080
静止画:JPG形式/3840×2160 |
参考文献
「日本ドローン年鑑2024 」野波健蔵 監修、一般財団法人 先端ロボティクス財団 編著、日刊工業新聞社
株式会社ACSL HP:
https://product.acsl.co.jp/product/post-369/
https://www.acsl.co.jp/news-release/press-release/2798/
SONY HP:
https://www.sony.jp/airpeak/products/ARS-S1/
エアロセンス(株) HP:
https://aerosense.co.jp/products/drone/as-vt01k/
(株)Liberaware HP:
ブルーイノベーション(株) HP:
国土交通省 HP:
https://www.mlit.go.jp/road/sisaku/inspection-support/pdf/c/BR010060.pdf
Terra Drone(株) HP:
(株)マゼックス HP:
(株)Sky Drive HP:
https://skydrive2020.com/flyingcar
ジーフォース HP: