ドローンビジネスの展望

ドローンが活躍する場面

ドローンの役割は、以下の3つに分かれます。

 

撮影型ドローン

映画やテレビ番組の映像の撮影、不動産や観光名所の空撮などでの利用

 

作業型ドローン

商品や医薬品、災害時の物資輸送、資材や苗木の運搬用途のほか、農薬や肥料の散布、ソーラーパネルや外壁の洗浄などでの利用

 

データ取得型ドローン

空中からのデジタルセンシングによって様々なデータを収集し、地形などの測量・測定、農業分野における生育状況や病害の発生場所の把握、収穫時期や収穫量などの予測、インフラ点検、生態調査などでの利用

 

ドローンビジネスの市場

ドローンビジネスは、市場タイプによって、3つに分類できます。

 

サービス市場におけるビジネス

農林水産業、土木・建築、点検、空撮、輸送・物流、警備など、ドローン機体を活用した業務を扱うビジネス

 

機体市場におけるビジネス

用途に向けて開発されたドローン機体など、機体そのものの販売に関するビジネス

 

周辺サービス市場におけるビジネス

バッテリー等の消耗品の販売、定期メンテナンス、人材育成や任意保険等のビジネス。

 

ドローンビジネスの将来性

国内外でドローン市場は拡大の一途をたどるとされています。

2022年の法改正で、レベル4飛行(有人地帯での補助無し目視外飛行)が可能となりました。

これにより、長距離・広域での活用を前提としたドローンビジネスの実装化が大きく進みました。

 

サービス市場の将来性

3つの市場の中で、最も大きく、成長も最も期待できるのがサービス市場です。

レベル4飛行の実現により、次のような未来が実現すると考えられます。

 

・スタジアムでのスポーツ中継や、写真・映像撮影のための空撮

・医薬品や食料品の配送

・救助活動や救援物資輸送、被害状況の確認

・狭量や砂防ダムなどの保守点検

・測量や森林資源調査

・警備、海難探索

 

国内サービス上の中では、点検と物流分野の伸び率が特に大きい見込みです。

 

機体市場の将来性

今後は技術や耐久性に優れた機体の開発・製造が行われていくと予想されます。

一部の機体メーカーでは、ドローンの離着陸や充電を自動で行ったり、ドローンで取得したデータをクラウド等にアップロードしたりする、ドローンポートを提供し始めています。

今後は、ドローンポートが欠かせない存在になると考えられています。

また、法改正後の機体認証制度に対応したドローンが増加する見込みです。

 

周辺サービス市場の将来性

無人航空機操縦者技能証明制度の開始により、スクール事業が活発になると予想されます。

また、ドローンの産業利用が進むことにより、バッテリー等の消耗品や定期的なメンテナンス、業務環境に即した保険のバリエーションが増加すると考えられます。

第三者の上空を長距離に渡って飛行するレベル4飛行には欠かせない気象情報提供サービスやそれにより得られた情報によるルート変更や運航の見送りなどの提案サービス等も求められるようになると考えられます。

 

国内ドローンビジネスの課題

①レベル4でのドローン飛行における安全性の確保

飛行途中に制御不能になった、人と接触して負傷させた、物件に接触して破損させた等のドローンに関するアクシデントが問題となっています。

2022年12月からは事故または重大インシデントが発生した場合の報告制度が義務化されました。

レベル4でのドローン飛行における安全性の確保をするためには、以下のような課題をクリアする必要があります。

 

ドローン機体の耐久性改善や技術開発

耐環境性能や耐久性と行った要素が設計段階から組み込まれて製造されている機体が多くはありません。

今後は、製品寿命などを踏まえた設計の機体を増産していく必要があるといえます。

加えて、各産業の要求に応じた機体開発、長時間飛行や最大積載量拡大、非GPS環境下での位置制御や安定性向上、機体認証制度への対応などが求められます

 

運航管理システム(UTM:UAS Traffic Management)の技術開発や航空証明等のインフラ・制度整備

運航管理システムとは、他のドローンを含めた周囲の状況や気象状況等の情報を集約し、操縦者に提供したり、運航を整理したりして、ドローンの運航を円滑にするためのシステムです。

今後、空域での密度が高くなるため、高性能のシステムが求められ、関連する技術開発も課題となっています。

加えて、航空証明等のインフラや制度も引き続き整備を行う必要があります。

 

社会実装を担う事業者の発掘

操縦者に加えて、安全管理者、運航管理者などの人的品質の向上や業種ごとに異なる飛行やデータの取得方法、解析方法に対応できる人材育成等も必要となります。

 

ドローン飛行に対する社会受容性向上

今後は、都市部などでもドローン飛行をする場合、地域住民を含む第三者の上空をドローンが飛行する必要となる可能性があります。

そのため、一般社会に受け入れられるように、ドローン飛行に対する安心感、信頼感を作っていく必要があります。

 

②情報セキュリティの確保

対策が急がれているのが情報セキュリティの確保です。

データを取得して、様々な産業用とで活用するツールとしてドローンが活用されるようになっていること、飛行ログや自動飛行のための飛行計画データ等は、GCS(Ground Control Station)からインターネットを通じてクラウドサービス拠点とやりとりを行っていることなどから、セキュリティ対策は必須となります。

一方、ハッキングやデータの改ざん、なりすましなどへの対策が現行のドローンシステムや運用方法ではほとんどされていないため、既存のセキュリティ技術をドローンが必要とするセキュリティ要件に対応させるなど、対策が求められています。

 

③ドローンによる犯罪等への対策

ドローンの普及により、空を利用した犯罪や迷惑行為が容易になったといえます。

空港付近や飛行が禁止されている都心上空でドローンのような飛行物体が確認された事案もあります。

2022年に機体登録制度が施行され、リモートIDによる飛行中のドローンの監視が始まりました。

しかし、犯罪等を防ぐには不十分といえます。

そのため、ドローンを無力化する、アンチドローンのニーズが高まっています。

アンチドローン技術の向上も課題ですが、技術を使用するにあたって、歩各区や撃墜などの法的根拠が明確ではなく、根拠や権限の制度化などの課題もあります。

 

参考

ドローンビジネス成功の方程式

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