はじめに
ドローンを勉強するにあたり、おすすめの本を探していたところ、「ドローンハンドブック」という本に出会いました。
こちらの本は内容が分かりやすく、また副題に「飛ばさない決断もできるパイロットになろう!」と記載があり、安全管理についても理解ができるものになっています。
この本の内容について、私の勉強もかねて、ブログに何回か分けて要約して記載していきたいなと思います。
電子書籍での販売もなく、取り扱いも少ないため、少しでもドローンユーザーにこの内容が届けばなと思います。
ドローンとは?
名前の由来と現在の定義
Drone(ドローン)の本来の意味は、雄蜂です。
数十年前だとドローンと言えば、無人爆撃機を想起する方が多かったと思われます。
無人爆撃機の起源は第二次世界大戦中にイギリスが開発した「DE HAVILLAND DH82B QUEEN BEE(女王蜂)」とされております。
その後に他国で開発された無人航空機が「ターゲット・ドローン(雄蜂)」と名付けられたことが由来という説があります。
この説に基づくと、ドローンは軍用の無人航空機が由来ということになります。
元々、インターネットやGPSなども軍用に開発されており、民間に転用されて発達してきた歴史があり、ドローンも同様に軍事用から発展したと思われます。
現在、ドローンは無人航空機全般のことを指しますが、ここ数年では特に4つ以上のプロペラを備えたマルチコプターのことを意味するようになってきています。
図 MQ-1B(無人爆撃機) (出典:Wikipedia)
航空法とドローン
2010年代前半から、ドローンの小型高性能化と低価格化が進み、一般の方でも空撮が気軽に行えるようになっていきました。
しかし、首相官邸でのドローン墜落や姫路城の衝突などの事故も多発しました。
こうした背景を踏まえて、2015年に航空法が改正され、日本の無人航空機のルールが制定されました。
航空法では、無人航空機を「飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船であり構造上人が乗ることができないもののうち、遠隔操作または自動操縦により飛行させることができるもの(機体本体とバッテリー合計の重量が100g未満のものを除く)と定義しています。
図 ドローンを飛行させる際に関連する法体系(出典:国土交通省)
※こちらの本では、4つ以上のプロペラを備えた無人航空機のことをドローンと呼びます。
仕組みと役割
ドローンはエンジン(モーター)により、プロペラを回転させて揚力を発生させることから、回転翼機と呼ばれます。
プロペラが回転することでドローンは飛行することができます。
ドローンは固定翼機と異なり、上空でエンジンが停まると、即墜落してしまいます。
ドローンは同じ大きさのプロペラを同じ回転数で反対に回転させることで、反トルクを打ち消し合う構造となっております。
水平方向や上下方向への移動、機体の回転は、それぞれのプロペラの回転数を変更させるだけで可能となります。
4つのプロペラの場合、上空で1つプロペラが故障すると、制御不能となり、墜落してしまいます。
プロペラの枚数が4枚以上のものであれば、プロペラが故障しても、残りのプロペラの推力をコントロールすることで機体の制御が可能な場合があります。
ドローンの構造
①プロペラ
2対の回転方法が異なるプロペラがセットになっています。プロペラは消耗品なので、予備を用意しておいた方が良いです。
②ブラシレスモーター
ブラシと整流子を電子回路に置き換えた、小型で高性能なモーター。
③カメラ
大型のドローンでは、ミラーレスカメラやシネマカメラを搭載することが可能です。
④ジンバル
機体の揺れや振動と逆の方向にカメラを宇動かして、揺れや振動を打ち消す装置です。
⑤スキッド
ドローンの脚のことです。
⑥アーム
本体部分とプロペラ部分をつなぐ腕のことです。
⑦障害物検知センサー
障害物を検知するためのセンサーです。
⑧LEDランプ
色と点滅の組み合わせで、現在の状態を表します。
⑨送信機
ドローンを操縦するための情報を、電波を介して手元から機体に送信するための装置。
図 ドローンの構造
センサーの種類
GPS
GPSはアメリカ国防総省が運用しているシステムで、地球を周回する衛星からの電波を元に受信者の現在地を測定します。
DJIのドローンはGPSに加え、ロシアの衛星測位システム「GLONASS(グロなす)」も使用することで、より制度の高い測位が可能となっています。
付近に高い構造物や樹木がある場所では、位置情報が測定できない場合があります。
加速度センサーと角速度(ジャイロセンサー)
機体の角度の変化と加速度の変化を測るセンサーです。
機体の移動方向と速度を測定します。
これらのセンサーにより、機体を空中で水平に保ち、一定の位置に留まり続けることが可能となっています。
磁気センサー(コンパス)
機体の磁気方位を検知し、、GPSと組み合わせることで精度の高い位置情報を把握できます。
機体の周囲に金属を多用した構造物(ダムや鉄塔など)があると、正しく測定できない場合があります。
気圧センサー
気圧の変化を計測することで、機体の高度を把握するセンサーです。
上空で高度を維持するために使用します。
ドローンの使用シーン
空中撮影
かつては飛行機やヘリコプターなどの有人航空機をチャーターする必要がありましたが、ドローンの登場により身近になりました。
コスト面のメリットがあり、ドローンの小ささや安定性を活かして、有人航空機よりもはるかに被写体に接近することができます。
測量・点検
測量では、写真やレーザーを用いて地表の様子をデータ化します。
ドローンを自動飛行させることにより、3Dデータの作成も可能なため、素早く安価に測量でき、工事現場で土砂の量の変化を解析するなどもできます。
老朽化した橋などのインフラやビルの外壁の劣化の調査、メガソーラーなどの点検なども行われています。
物流
小型のものを運ぶことも期待されています。
日本では、離島や山間部での活用が期待されています。
農業
従来は大型のラジコンヘリコプターによる農薬散布が主流でしたが、小回りがきいてピンポイントに散布できるドローンが主役となりつつあります。
また、ドローンで農地や作物を計測して農業の省力化や精密化を図るスマート農業も注目されています。
救助活動
災害虹集落が孤立した際に、機動力の高いドローンが状況を確認することや、山や海での遭難者を捜索すると行った活躍も期待されています。
エンターテイメント
ドローンレースの人気が最近、高まっています。
また、ドローンショーなどと行ったものも行われています。
出典
森健司著:ドローンハンドブック 「飛ばさない決断もできるパイロットになろう!」 玄光会MOOK 2019年